【元NICU看護師が解説】母乳とミルクの違いとは?

産後ママ

こんにちは!元NICU看護師のゆいです。

この記事では、出産を控えた妊婦さんとそのパートナー、そして新生児の育児に携わる皆さんに向けて、母乳とミルクの違いについて詳しく解説していきます。

育児において「母乳とミルクのどちらで育てるべきか」という疑問は多くの新米ママ・パパが直面する問題です。

今回はその疑問にお答えし、安心して赤ちゃんの栄養を選択できるようにサポートします。

1. 母乳の免疫物質

母乳は赤ちゃんにとって理想的な栄養源です。

特に初乳(出産後最初の数日間に分泌される母乳)には高濃度の免疫物質が含まれています。

免疫物質の種類と役割

母乳に含まれる免疫物質には以下のものがあります。

  • 抗体(IgA, IgG, IgM):病原体から赤ちゃんを守る。
  • ラクトフェリン:細菌の増殖を抑える。
  • リゾチーム:細菌を分解する酵素。
  • オリゴ糖:赤ちゃんの腸内環境を整え、免疫システムを発達させる。

この他にも、リンパ球やマクロファージ、ムチンなど、赤ちゃんの免疫に大切な成分が母乳には含まれています。

2. 母乳の成分の変化

母乳には多くの免疫成分が含まれ、その割合が赤ちゃんの成長とともに変化していきます。

初乳

  • 特徴:黄色がかった濃厚な液体
  • 主成分:高タンパク質、低脂肪、高免疫物質
  • 役割:赤ちゃんの免疫システムを強化し、消化器官を保護

移行乳

  • 特徴:出産後数日から2週間まで
  • 主成分:タンパク質が減少し、脂肪と乳糖が増加
  • 役割:赤ちゃんの栄養ニーズに応じて成分が変化

成乳

  • 特徴:産後約2週間以降
  • 主成分:バランスの取れた脂肪、タンパク質、乳糖
  • 役割:赤ちゃんの成長と発達を支える
ゆい
ゆい

赤ちゃんの成長に合わせて母乳の成分も変化していくのってなんだか不思議ですよね

3.授乳によって愛情ホルモン(オキシトシン)が分泌される

愛情ホルモンと呼ばれている「オキシトシン」は、授乳によって赤ちゃんにもママにも分泌されます。

オキシトシンが分泌されることによって、以下のような効果があります。

子宮の回復を促進する

産後、子宮は4~6週かけて元の大きさに戻ります。

赤ちゃんがおっぱいを飲む反射により、オキシトシンが分泌されます。このオキシトシンに子宮収縮作用があり、子宮の回復を助けてくれます。

ママと赤ちゃんの愛着形成、信頼関係を築くことができる

オキシトシンは、授乳により、肌と肌を合わせることによっても分泌されます。

赤ちゃんは、脳が急速に発達する赤ちゃん期にオキシトシンの影響を十分に受けると、将来的にオキシトシンがつくられやすい脳になり、他人への親近感やストレス耐性などを築きやすくなります

ゆい
ゆい

オキシトシンは授乳じゃなくても、抱っこや手を繋ぐなどといったスキンシップでも分泌されるので、たくさん赤ちゃんとコミュニケーションを取ってくださいね!

4.母乳育児のメリット・デメリット

看護師目線での母乳育児によるメリット、デメリットは以下の通りです。

母乳のメリット

  • 免疫物質が含まれる
  • 消化しやすく、腸内環境を整えてくれる成分が含まれている
  • 愛情ホルモン(オキシトシン)が分泌される
  • 子宮の回復を促進する
  • ママも赤ちゃんもオキシトシンが分泌されることによって、愛着形成、信頼関係を築くことができる

母乳のデメリット

  • 食事に制限がある
    母乳は、お母さんが摂る食事から作られるため、アルコール類やカフェインを極力避けるなど食事に気を付けなければいけません。
  • ママが休めない
    授乳をパパや他の人が代わることができないため、ママへの負担が大きくなります。
  • おっぱいトラブルが起こることがある
    乳首に傷ができるなどトラブルが起こることがあります。

5. ミルクの成分

ミルクは栄養バランスが考えられており、母乳に不足しがちなビタミンDやビタミンKが摂れるように作られています。

ミルクの主成分

  • タンパク質:カゼインとホエイのバランス
  • 脂肪:植物油を中心に配合
  • 炭水化物:主に乳糖
  • ビタミン・ミネラル:母乳に近づけた成分

母乳と育児用ミルクの栄養価を比較してみると、エネルギー源となる「タンパク質」「脂質」「炭水化物」はほぼ同じくらいです。しかし、ビタミンやミネラルは、全体的に育児用ミルクのほうが多く含まれているとわかります。
母乳は、赤ちゃんの必要量に対してビタミンDやビタミンKが不足しやすいのです。一方で、育児用ミルクは栄養素をまんべんなく摂取できるように作られています。

6.ミルクのメリット・デメリット

ミルクのメリット

  • 安定した成分
  • 母乳に不足しがちなビタミンKビタミンDが多く含まれている
  • 飲んだ量が正確に分かる
    飲んだ量を把握することで、赤ちゃんの体調の変化にも気付きやすくなります。
  • 母乳よりも腹持ちが良い
  • ママ以外の人でも授乳することができる
    ママが休みやすかったり、社会復帰し、仕事をするときに預けやすいです。

ミルクのデメリット

  • コストがかかる
  • 外出時の荷物が多くなる
  • ミルク作りに手間と時間がかかる
    哺乳瓶の洗浄、消毒、ミルク作りの際にお湯を沸かしたり、赤ちゃんが飲める適温になるように冷ましたりするなど多くの作業が必要になります。
  • 消化吸収の負担
    赤ちゃんによっては、消化しづらく、便秘になることもあります。
  • 母乳の持つ免疫物質が含まれていないため、病気の予防効果は母乳に劣る

7. どちらで育てるのが良いのか

母乳とミルクのどちらを選ぶかは、個々の状況や赤ちゃんのニーズによります。

母乳が推奨される理由

  • 免疫力強化:母乳には免疫物質が豊富
  • 消化吸収:母乳は赤ちゃんにとって消化しやすい
  • 絆作り:授乳を通じて母子の絆が深まる

ミルクが推奨される理由

  • 栄養バランス:安定した栄養バランスを摂取でき、母乳に不足しがちなビタミンKやビタミンDも接種できる
  • 母親の負担軽減:母親が体調不良や仕事復帰する場合に便利

8. まとめ

母乳とミルクの違いについて詳しく見てきましたが、それぞれにメリットがあります。母乳は免疫物質が豊富で赤ちゃんにとって理想的な栄養源ですが、ミルクも母乳に近い栄養バランスを提供し、母親の負担を軽減する利点があります。

最も重要なのは、母親と赤ちゃんが共に健康でいられることです。 あなたの家庭に合った方法で、安心して赤ちゃんの育児に取り組んでください。

9.おわりに

ここからは、看護師としてだけでなく、母としての完全に個人的な意見です。

私は、母乳がいい!ともミルクがいい!とも思っていません。

私が働いていた病院は、「赤ちゃんにとって母乳が最適」という考えの病院で、当時は母乳が一番と思っていたことや母としてのステータスみたいなものがあって、「完全母乳で育てなきゃ!」と息子のことは完全母乳で育てました。

産後で体がしんどくても何度もおっぱいを吸わせて、分泌が多くなるように頑張っていました。

半ば意地でしたね。笑

今になって思うと、しんどいときは無理に頑張らずにミルクを取り入れても良かったなと思います。

特に、日本人女性は、母乳で育てたいという考えの人が多く、ミルクで育てている人が後ろ向きな発言をすることも見受けられます。

また、ミルクで育てている人を見下すような発言をしたり、愛情不足といったことを言う人も見られます。

ミルクだから愛情不足というのは、間違っている情報なので、鵜吞みにしないでください。

赤ちゃんを思ってしている行動には、すべて愛があります。

愛がなければ、あんな面倒くさい消毒やミルク作りできませんよ。

母乳でもミルクでもどちらが正しくどちらが正解であるといったことはありません。

赤ちゃんやお母さん、それを取り巻く環境によって、人それぞれ違うので、間違った意見に流されないでくださいね。

ゆい
ゆい

赤ちゃんとママが心もからだも健康に過ごせることを応援しています

育児に関する質問や疑問があれば、ぜひコメントやメッセージをお寄せください!

ゆいが皆さんのサポートをします!

最後までお読みいただきありがとうございました。これからも一緒に育児を楽しみましょう!

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