こんにちは!元NICU(新生児集中治療室)看護師のゆいです。
今回は、新生児育児中のママやパパに向けて、黄疸について説明します。
初めて聞く「黄疸」という言葉に病気なの?と不安になりますよね。そんな不安を解決していきましょう!
黄疸は、すべての赤ちゃんに多かれ少なかれ見られる生理的な現象だよ!
心配になりすぎないでね!
この記事を読んだらわかること
・赤ちゃんはどうして黄疸になるのか?
・黄疸の症状や検査方法、治療方法について
・黄疸になるとどうしてよくないのか?
・お母さんやお父さんにできる黄疸の予防法
・退院後に黄疸を疑うべき症状と受診の目安
1.黄疸とは
黄疸とは、多くの新生児に生じる一般的な症状の一つで、皮膚や白目が黄色く見える状態を指します。
黄疸は、全ての赤ちゃんに多かれ少なかれ見られる生理的な現象であり、出生後2、3日後に出現し、1週間程度で自然に改善されます。
しかし、病的な黄疸や重度の場合は治療が必要になります。
2.どうして赤ちゃんは黄疸になるの?
黄疸は、血液中のビリルビンと呼ばれる物質が体内に蓄積されることによって引き起こされます。
ビリルビンとは、赤血球が古くなり分解される際に生成される黄色い色素であり、通常は肝臓で処理されて便として体外に排出されます。
赤ちゃんが黄疸になりやすい理由は、いくつかありますが、肝機能が未熟であることや血が濃いこと(赤血球が多い)、胎児期にあったビリルビンを再吸収する機能がまだ残っていることが主な理由です。
・産まれたばかりの赤ちゃんはなぜ赤血球が濃いのか?
これは、お母さんのお腹にいる間、自分で酸素を取り込むことができず、お母さんから酸素をもらっているので、血液中の酸素が薄く、限られた酸素を効率よく全身に運ぶためです。
更に、赤ちゃんの赤血球の寿命は、約80日(成人は約120日)と短いため、赤血球が壊れる際に出てくるビリルビンは増えやすくなります。
産まれたばかりの赤ちゃんは、赤血球が多いから、からだが赤く見えるんだよ。
このことから、「赤ちゃん」と呼ばれるようになったよ。
3.黄疸の症状
・皮膚や白目が黄色く見える
・母乳やミルクを飲む力が弱く、すぐに疲れて飲めなくなる
・活気がない
4.検査方法
医師の診察、経皮黄疸計という機械を用いて黄疸の度合いを確認します。
経皮黄疸計とは、赤ちゃんのおでことおなかに機械を当て、数値を測ります。赤ちゃんへの影響はありません。
この機械で数値が高かった場合や医師の診察で、黄疸が強いと判断された場合には、血液検査を行い、より正確なビリルビン値を測定します。
経皮黄疸計は、非接触型体温計のような機械で赤ちゃんにストレスを与えることなく、検査ができるよ。
5.治療方法
生理的黄疸の場合、1週間程度で自然に改善されるため、特別な治療は必要ありません。しかし、重度の黄疸や病的な黄疸の場合は、光線療法や輸液療法が必要な場合があります。
治療方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください▼
6.黄疸が進行した場合に起こる身体への影響
血液中のビリルビンが少し多くても体に害はありません。
しかし、赤ちゃんの黄疸が治療されずにビリルビンが多くなると、いくつかの悪影響が生じる可能性があります。
- 黄疸性脳症: 重度の黄疸の場合、ビリルビンが脳に影響を与える可能性があります。これは黄疸性脳症として知られ、赤ちゃんの意識レベルを低下させ、痙攣や筋肉の硬直などの神経学的な問題を引き起こす可能性があります。
- 脳損傷: 長期間にわたる高いビリルビンレベルは、脳に損傷を与える可能性があります。
- 長期的な影響: 未治療の黄疸が脳に影響を与えると、言語発達や学習能力に影響を与える可能性があります。また、黄疸性脳症が重症化すると、死亡する可能性もあります。
少し心配になる話でしたね。
黄疸は適切な治療を受ければ大丈夫!治療をしなければならなくなった場合は、黄疸の治療を優先させましょうね!
7.黄疸の予防策
お母さんやお父さんにできる黄疸の予防策はズバリ!哺乳をたくさんさせてあげることです。
これは母乳でもミルクでも構いません。
哺乳することで、たくさんの水分が赤ちゃんの体に吸収され、濃かった血を薄めてくれます。
また、哺乳をすることで、腸を動かし、うんちを出してあげることで、体のビリルビンを減らしてあげることができます。
もちろん、これだけで全ての黄疸が予防できるわけではありませんので、次の章でお伝えする「受診する目安」のような症状がある場合には、すぐに小児科を受診することをお勧めします。
8.受診する目安
以下のような症状が出た場合は、小児科を受診するか、お産された病院に電話で連絡し、相談してください。
・入院中よりも皮膚や白目がどんどん黄色くなる
・あまり母乳やミルクを欲しがらない、飲むことができない
・ぐったりしている
・うんちの色が白い(母子手帳のカラースケール1~3)
これは、病院に行くほどではないのかな…
どうしたらいいか分からない…
と迷ったときは、とりあえずGO!です!
何もなければ、「これは大丈夫だったのか~」でいいんです!
このぐらいで病院に来るなんて…と咎める医療者はいません。
退院時に赤ちゃんの写真を撮っておくと、皮膚の色を比較しやすいよ!
9.まとめ
黄疸は、すべての赤ちゃんに多かれ少なかれ起こりうることであり、ほとんどの場合、自然に解決されます。
出産後にぶつかる壁の一つであり、先生や助産師さんから「黄疸ですね」なんて言われると、すごく不安になりますよね。
黄疸のことを知っていて、治療を受けている赤ちゃんを見てきた私でさえ、自分の子供が「少し黄疸の値が高いですね」と言われたときは、すごく心配になり、落ち込みました。
一番伝えたいことは、ひとりで悩まないこと!です。
悩んだときは、小児科を受診するか、お産した病院に電話で相談することが一番ですが、そこまでする必要あるのかな…と躊躇してしまうときには、誰かに相談してください。
パートナーや友達、両親、誰でも構いません。
黄疸を見逃してしまったがために、脳に障がいが残ってしまった赤ちゃんを見たことがあります。
そのような経験を皆さんにはして欲しくありません…
もし質問や疑問があれば、お気軽にコメントしてくださいね。
困ったり、悩んだときは、コメントやメッセージから、ゆいにも連絡してね!
一緒に悩みましょう。
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